立ち止まって野草を見てみよう

大井町の宇田川聖一氏が描きためた大井町の野草の絵をご紹介します。
宇田川先生は、小学校の校長を退任後、酒匂川周辺の野草を丹念に調べ美しいスケッチに残しました。

これらを大きなキャンバスに並べて額とした絵が大井町生涯学習センターの三階に掲示されています。

本ページは、
足柄/地域づくり研究会の「あしがら歳時記新聞」に掲載された記事を
宇田川先生のコメントとともに掲載しております。

掲載にあたり、製作者の宇田川先生、歳時記新聞の府川栄一氏
両氏のご了解を頂いております。




   
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その45 キツネアザミ 
 
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  秋に芽を出し、ロゼットで冬を越す。
 
春になるとあっという間に伸びてアザミの様な花を咲かせる。

 
キツネとは、うさん臭いとか、まがい物とかと云う意味で
 アザミに似ている花ということで命名された。

 葉にはトゲが無い
その44 ハルジオン 
 
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  春先に、畦や野道の普通に見られる。 北米原産の帰化植物

 似た花に姫紫苑がある。 区別の仕方は

  
 【春紫苑】
   花期が1ヶ月ほど早い(4〜5月頃)
    つぼみは下向きにちょっと垂れる
   白い花の部分はやわらかめ
    葉っぱは茎を抱くような形で伸びている
    茎は中が空洞

 【姫女苑】
   花期は夏(6月以降)
   つぼみは上向きのことが多い
   白い花の部分はピーンと張っている
   葉っぱは茎からストレートに伸びている
    茎には髄(ずい)という部分が詰まっている


その43 ムラサキケマン 
 
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  秋に芽生え、茶色がかった葉を地面に広げて越冬し、
  春になると茎を出して、茎の上部に紫色の花をびっしりと咲かせる。

  花期は4月〜6月頃

 
湿ったところに良く生える

 
葉は2,3回羽状に裂け裂片には更に切れ込みができる。
  花は、長さ2,3cmの筒状で、紅紫色で時には白もある。
その42 ヤブカンゾウ
 
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 田んぼの土手、線路際、林縁などいたるところで花を咲かせる
 7月から8月ころによくみられる

 八重になるのが特徴

 同種にノカンゾウがありが、こちらは一重の花で、湿り気の有る場所を
 好むので池や沼のほとり、溝の縁に等に多い

 
その41 タンポポとホトケノザ
 
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 春一番に咲く花たち
 タンポポとホトケノザが良く目立つ

 
  
その40 オドリコソウ 
 
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 春4月〜6月に 白〜ピンク色の花を付ける。
  東日本では白い花、西日本ではピンクの花をつける。
 花の笠をかぶった踊り子のようにみえるので名前がついた。

 若葉は食用に、根は薬用になる。

 草地で普通にみられる踊り草はヒメオドリコソウといい、
 やや小さい草で、ヨーロッパ原産の外来種であるが、この
 オドリコソウは在来種で、野山に咲く。

  
その39 オオイヌノフグリ 
 
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 まだ風の冷たい早春の日だまりに、小さな青紫の花が点点と咲く。
 ヨーロッパ、アフリカ原産だが、すっかり日本に定着している。

 花は日が当たると開き、夜には閉じる。
 良く見ると4弁の花が綺麗に開き、美しい。
 
その38 ミシマサイコ 

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 薬草:根が 解熱、鎮痛,解毒効果があり、漢方薬として使用される.
 
生薬の産地、静岡県三島の名前をとって名づけられた。

 今では自生するものが少なくなっている。

 
山地や丘陵地の日当たりの良い場所に生え、8〜10月頃に
 黄色い小さな花を咲かせる.
その37 ツリガネニンジン
 
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 下向きに釣り鐘のように咲く、高原に多い花
  がくにギザギザの鋸歯がある。


 
風に揺られると今にも鳴り出しそう。
 花の形が「釣鐘」形で、白く太い根が 人参(にんじん)の形に
 似ていることから 「釣鐘人参」。

 人参とは野菜の人参ではなく、 薬草で名高い「朝鮮人参」のこと。
「朝鮮人参」は高価だったので「人参」自体は輸入されずに、
 それを乾燥または蒸した根が輸入されただけだったので、
 その根の形をたよりに 日本産の「人参」を探す試みが繰り返された。

 そのときの名残が今も 「釣鐘人参」「蔓(つる)人参」「岩人参」
  などの和名として残っている。

 漢名は「沙参(しゃじん)」。
  根はせき止めの漢方薬の 「沙参」になる。
 「トトキ」の名で山菜としても有名。 「トトキ」とは朝鮮語。

その36 ハクダメギク 

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日本へは大正時代に渡来し、急速に広まった帰化植物。
 北アメリカ原産


  
軒下や畑で良く見られる。
  茎や葉に剛毛があり、触るとザラザラする

 掃溜菊という名前は、植物学者の牧野富太郎の命名で、
 世田谷区の経堂のゴミ捨て場(掃溜め)で見けこの名前をつけた。
 好窒素植物らしく有機物が捨てられる場所で良く見つかる。

 夏から秋のかけて小さな花を咲かせる。
 英語名は shaggy soldier 毛深い兵士
その35 ノボロギク 
 
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 日本へは、明治の 初めごろに渡来した帰化植物。
 現在では、日本中にはびこっている。

  道端にごく普通にあり、冬でも枯れずに生きている。
  花は年間と通して咲いており、花弁のない筒状花なので
  いろいろな花の咲く季節には存在感は薄れるが
  早春は晩秋の頃には良く目立つ。
 その34 ノギク
 
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 田の畔など湿った所に生える。
 ヨメナ、ノコンギク、ユウガギクなどをひっくるめた総称で野菊と呼ばれる。

 関東から北の地域に生えるのをカントウヨメナという。
 中部以西に咲くのはヨメナと呼ぶ。

 ヨメナは葉を食べるが関東嫁菜はあまりうまくないようです。 
その33 アキノノゲシ

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 田畑の土手や空き地などの日当たりの良いところに生える。
 1.5〜2mの高さに、2cmほどの花が沢山咲き、花が終わると
 タンポポの綿毛を小さくしたような実が風に乗って運ばれる。

 茎を切ると白い乳液が出る。
 
 3月から4月頃の若芽、若葉を積み取り、塩ゆでにし、水にさらし
 おひたし、油いためなどにして食べる。

 春に咲くノゲシに見立て、名が付いたが、花の感じは大部違う。


 
その32 ママコノシリヌグイ


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11月に入ると野に咲く花もだいぶ減ってきましたが、休耕田や
 畦の縁には、まだ嫁菜、犬蓼(赤マンマ)の花が元気に咲いています。

 そんな花たちに混じってもう一つタデ科の花が咲いています。
 その名は「ママコノシリヌグイ」。この名はあまり知られていません
 が、何かすごい名ですよね。

 この草の茎や三角形の葉にはぎっしりと刺が生えています。
 非常に細い産毛のような感じで刺には見えませんが、それでいて触ると
 刺さって非常に痛いのです。
 こんな草で継子(ママコ)の尻を拭ったらたまらないだろうと思ったり
 してしまいます。
 昔の人はこうした反人権的な名を平気で名づけたのですね。
 
 私はこの名に反対で「金平糖(コンペイトウ)の花」と私流に名づけて
 います。実際、この花は淡紅色の小さな可愛らしい花房が金平糖のよう
 にかたまって枝先に咲いています。
 
 嫁菜の淡い紺と、この花の淡い紅がゆく秋を彩っています。


その31 オミナエシ&オトコエシ

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     同じオミナエシ科のこの2つの花は長い柄の先に付いた花が平に
     並んで咲く散房花序で、その花弁の形も同じです。

   でも、この2つの花には決定的な違いがあります。
   即ち花弁の色ですがオミナエシは黄色、オトコエシは白です。

   漢字名は、オミナエシは女郎花、オトコエシは男郎花ですが、
   これって分かり易いですね。
   もう少しこの花を比べてみると、オトコエシの茎は黒っぽく
   白い毛が生えていて葉は舟形でぎざぎざがあります。

   オミナエシの茎は毛が無く葉は細長く元に深い切れ込みがあります。
   しかし、何よりもの違いはその知名度です。
   オミナエシは、万葉集に秋の七草として読まれるなど昔から
   親しまれてきた人々の身近にある花ですが、オトコエシはその名
   さえ知らない人がたくさんいることです。


 
その30 キキョウ

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桔梗という漢字名はその名は分らなくても何となく日本的な匂いの
  する名です。ある時代小説に出てくる武士の姓に桔梗というのが
  ありました。人にへつらわない剣客のイメージにぴったりでした。

  花の紫も日本的で、しかも高貴な感じがします。この花、「秋の七草」
  の一つとして古くから人々に愛されてきたものです。
  その証として万葉集の中で山上 億良(やまのうえおくら)が詠んだ
  「秋の七草」朝顔として登場しています。

  どうやら朝顔は桔梗の古名だったようです。
  今の朝顔は桔梗とはぜんぜん違うものですが花の形がラッパ状、
  ジョウゴ状なのが共通していますね。桔梗は半乾燥の野原によく咲い
  ていましたが、いつの間にか姿を消してしまったようです。
  
  でも、人々に親しまれた歴史が物語るように今では、人々にもっと
  近づき庭の花として元気に生きています。
  野の花が庭の花に転化したよい例です。


その29 イヌタデ

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  オママゴトの代表素材:
  春から秋にかけてどこにでも咲く蓼科の代表花です。
  人は役に立たない雑草にイヌだとかキツネだとかを頭につけます。

  でもこの花は、どうしてどうして昔から役に立ってきました。
  別名を「アカマンマ」といえばピーンときますね。そうです。
  これはオママゴトの代表素材。お皿にこれを載せてご飯代わりに
  した幼き日の思い出は、日本人なら誰でも持っていますよね。
  今でも幼稚園児はオママゴトに使っています。

  よく「蓼食う虫も好き好き」といわれています。これは、苦い蓼を
  好んで食べる虫がいるように人の好みも様々だという至言なんです。
  でも、このイヌタデは決して苦くはありません。アカマンマと言われ
  ているように食べられます。中でも天ぷらは最高ですよ。
  生のまま若枝ごと普通にといた衣で熱めの油でカラッと揚げます。
  でも、ヤナギタデは苦いのでご注意。これは葉がヤナギの葉に似ていて、
  花はアカマンマのような赤っぽくなく白緑色です。超苦いので念のため。


その28 ヤマユリ

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夏の野山でギクッとするのはヤマユリの清楚な姿に出会った時です。
  ここらに咲いているだろうと思っていても、実際に出会ったときは
  驚いてしまうものです。
  そして、しばらくの間見とれてしまいます。

  なんと言ってもこのヤマユリは夏の野草の女王ですね。
  他にカノコユリ、ササユリ、オニユリ等、百合はたくさん見かけます。
  しかし、大きく開いた6弁の花びらの中央に透るレモンの縦じま、
  光を透さない上品なカカオ色の斑点とおしべの花粉。
  そこから漂うあたりを圧する甘い香り。

  これこそ観賞価値満点の「神奈川の県花」と言えば誰もが納得 
  するでしょう。 聞くところによると、明治維新の時、横浜の外国
  遺留民がこの花を見てその美しさに驚愕(きょうがく)したそうです。
 
  最近、人家に近いところから姿を消しています。 
  この花をもっともっと私たちの間近に取り戻すことは、
  県民の義務でしょうか。


その27 ノゲシ&コウゾリナ

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 酒匂川の土手には黄色い花弁のノゲシとコウゾリナが混在して咲いています。
 注意して見ないと同じ野草に見えてしまいますが、よくよく見るとぜんぜん
 違うことに気づきます。 

 まずノゲシはタンポポのように鮮やかな黄金色ですがコウゾリナは少しさめた
 レモン色で花弁もノゲシよりも少なく淋しいつき方をしています。

 葉もかなり違いがあります。ノゲシはアザミの葉に近い形で葉肉の
 厚みがありますが、コウゾリナはなめらかでとげとげしい線は見当たりません。

 何よりの違いはコウゾリナの茎にはトゲ状の固い毛があって、触れると痛いこと
 から髪剃刀(カミソリ)菜という名が生まれたくらいです。
  
 ノゲシは芥子の仲間ではなく菊の仲間ですが、それらしく食用として昔から
 有名です。江戸時代には度重なる飢餓の時に非常野菜としてお百姓さんに
 重用されていたそうです。
 実際、私も60年も昔の戦争中、集団疎開をしていた時に野菜の代用食として
 雑炊に入れて食べたものです。


その26 ノアザミ

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 まず、このアザミの漢字を読める人は少ないでしょう。
 魚にぜんぜん関係ないのに魚の字が入っているのも不思議です。

 アザミは日本に50種ほどあるそうですが、私たちがアザミといえば
 「ノアザミ」のことを指しているのが普通です。
  鋭い棘のついた濃緑の個性豊かな葉とは対照的に柔らかな半球状の
 鮮やかな赤紫の頭花は人の目を惹きつけるのに充分です。

 私は野草の中でこのアザミとヤマユリが双璧をなしていると思っています。
 アザミは足柄地方ではどこにでも咲いていますが、特に第一生命社有地の
 土手や道端に咲くアザミは思わず立ち止まってしまうほど赤紫と
 コバルトブルーが鮮やかです。

 私はアザミに魅せられ絵を描いたり、ものを作ったりする作業所を「薊工房」、
 野の花を描く会は「あざみの会」と称しています。


その25 ツクシ


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土の中から筆穂がニョキッとでたところを見ると、土筆という和名は
 言い得て妙です。幼稚園の園児たちが卒園の頃になると
 「ツクシを見たよ」「ツクシの兄弟が5人いたよ」といった報告を
 よくしてくれました。

 昔から、ツクシは子どもたちに好かれてきました。
 この時期の「おままごと」にはご飯もおかずもツクシが並べられました。
 
 一方、農家の人々には嫌われ者の筆頭に挙げられてきました。
 それは、黒っぽい地下茎が土の中を自由奔放に走り回り、いくら耕しても
 絶えることを拒むからです。

 地下茎には胞子を散らす胞子茎と栄養を作る栄養茎の2種類があります。
 前者をツクシ、後者をスギナと呼んでいます。

 「ツクシ誰の子スギナの子」とよく言われてきましたが、どうやら順序・
 役割からいうとツクシのほうが親しみたいです。
 でも、ツクシの可愛らしさは「つくしんぼう」といわれるように昔と
 変わりはありません。
 「ツクシの方が親なんだよ」なんて野暮を言わない方が無難ですね。


その24 ヘビイチゴ

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今、大井町の田園地帯では春の野草がどんどん花を咲かせています。
 越冬した花(約7種)は別としてお彼岸の時は5種類だったのが、4月に入った
 とたん25種類が新しく花を咲かせています。ヘビイチゴもその一つです。

 この花、名前からするとあまりいい感じはしませんが、
 蛇とは関係がないようです。 子どものころは蛇が食べる苺と思い込んで
 いました。ですから、ヘビイチゴを見つけるとそこにヘビがいるのではないか
 と遠回りしたものでした。でも、この苺の実は蛇と関係はありません。

 この苺は海面質で水気も甘味もありません。人は食べない腹いせに蛇の好物
 にしてしまったのでしょう。黄色の鮮やかな花を咲かせ真紅の実をつける
 ヘビイチゴこそ大迷惑しているのではないでしょうか。

 この花は田んぼの畦によく咲いています。走出枝(そうしゅつえ)を伸ばして
 地を這い節から根を出して増えます。
 農家の人は田の畦の草を何度も何度も刈ります。
 そこで、ヘビイチゴは身を護るために地を這う知恵を持ったのでしょうか。
 どうしてどうして立派なものです。


その23 ギシギシ スイバ


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この2つの野草は同じ時期、同じ場所、そして同じような形状で
  生えているので、区別できない人が多いようです。 

  スイバはスカンポと呼ばれ、団塊の世代以上の人々には思い出の
  野草です。柔らかな茎を折って口にくわえると酸っぱい汁が出て来ます。
  お菓子等が稀少な時代、子供たちの口を慰めてくれたスカンポです。

  ところが、ギシギシにもスイバと同じように蓚酸(シュウサン)が
 含まれているので酸っぱいのです。
  そんなことで区別できない人が多いようです。
  でもよく見ると違いがわかります。

  スイバはしなやかで優しい茎で葉も遠慮がちであまり付いていません。
  茎を折って皮を剥いで食するのに適しているのです。花は海老茶色です。

  一方、ギシギシの花は緑色です。株も大きく、葉の勢いも激しくって
  花の間からも出ているくらいです。 
  そんなことから、ギシギシの方が昔から農家の人に嫌われてきたようです。


その22 オオバコ


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日本全土に咲く、人にとって懐こい野草です。
 山路などを歩いていてこの草を見つけると人家が近いと言われています。
 そのわけはこの花の種はぬれるとゼリー状の液体を出し、
 人の足の裏につきやすいのです。
 これが人の歩く範囲に必ず咲いている秘密です。

 この野草、ウサギの大好物でも知られていますが、人にとっても役に立って
 きました。
 昔からは健胃、利尿剤として種は咳止めとして使われてきました。
 子どもの頃ススキの葉などで手を切ったときオオバコの葉を揉んで患部に
 つけると不思議に痛痒さが取れてしまった。そんな思い出もあります。

 また、この紐状の茎を絡ませて引き合う遊びもしたので「スモウトリグサ」と
 呼んでいました。
 「ガマはガマでもシロクのガマだよ。筑波山の麓でオンバコウという草を
 食って育ったガマだよ・・・」
 これは有名な『蝦蟇の油売り』の口上ですが、このオンバコウはオオバコの
 ことです。そんなことからオオバコは一名カエルッパとも呼ばれています。

 花季は4月から10月といわれています。

その21 カタバミ


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 ハート形の三対の葉と黄色の小さな五弁の花をつけたカタバミは知らない
 人はいないほどお馴染の野草です。道端や家の基礎の根元や石垣の下などに
 よく生えています。

 スイバ(スカンポ)と同じように酸味があるので子どもの頃、噛んで遊ん
 だ覚えがあります。夜になると葉が閉じてしまいます。これは就眠運動と
 いわれる現象です。そうすると葉の裏側が見えなくなってなってしまうので
 「片食・カタバミ」と呼ばれたといわれています。
 (食は日食、月食のように欠ける意味につうじます)。

 私は当て字として「片葉見」としてみました。若い人にはよくわかると
 思うのですがいかがでしょうか? 同じ仲間にムラサキカタバミがあります。
 これはカタバミよりも数倍大きくピンクの美しい花です。
 西大井地先の酒匂川の土手にも群生しています。野の花というよりも観賞花
 といった感じがします。それもそのはず、江戸時代に観賞用として輸入され
 たものですが、それが野生化してしまったそうです。


その20 タネツケバナ 他


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今年は暖冬だと言われていましたが、暦の寒に入ってからは本格的寒さが
 やってきました。
 2月4日の立春には、東京も横浜も雪化粧で明けました。

 「春は名のみの風の寒さや・・・」 これこそ日本の風景ですね。さて、
 野の花はこの時期寒さでほとんどが枯れ、やがてその子どもや孫たちが
 春を迎えるのです。  

 しかし、個体によっては健気にもじっと寒さに耐えて咲いているのです。
 建国記念日の日に霜柱の立つ田んぼの枯葉色の畦道(大井町金手〜西大井)
 を歩いていると、タンポポ、オオイヌノフグリ、ハコベ、タネツケバナ、
 ナズナ、ホトケノザ、ノボロギクの花が咲いている姿を見付けることができました。

 これらはみんな春の花と言われていますが、個体によっては厳しい冬を
 乗り越えて咲きとおしているんです。自然ってすごい。
 「こんな寒い冬は大嫌い」なんてひたすらストーブや 
 コタツと仲よくなって外へ出るのをおっくうがっている私も、
 こんな野草たちの姿に学ばなければ「限られた人生こんなことしていたら、
 もったいないなぁ」と思いました。(2007.03掲載)


その19 イシミカワ


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 先月号のママコノシリヌグイと混同して、イシミカワ=シリヌグイと
 思い込んでいる人がいます。
 確か両方ともタデ科ですが、よくよく観察すれば違いがわかります。

 シリヌグイは休耕田や空き地に自力で立っていますが、イシミカワは生垣や
 フェンスに張り付くように立っています。
 なによりも大きな違いは、イシミカワは三角形の葉の付け根に円形で
 漏斗状の托葉が付いていることです。

 また、花も大違いです。イシミカワの花は花被が膨らんでノブドウのような
 果実状に見えることです。 それに手が込んでいて色も緑、赤紫、青紫と
 ノブドウの実とまったく同じなんですね。

 花がこんな風に違うのに、人がママコノシリヌグイと混同する原因は
 両方とも茎に棘があることかも知れません。
 でも、イシミカワの方の棘が鋭く下向きに付いているので触ると痛いのは
 ママコノシリヌグイ以上です。  (2008.01掲載)

その18 フキノトウ 


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 雪溶けの間から柔らかな緑の顔を出している姿は春の喜びに満ちています。
 まさに野の花の春第一便ですね。

 最近足柄地方では雪が少なくなっていますので、こんな風景にあうことは
 稀なことになってしまいました。

 このフキノトウは昔から春の香、春の味として親しまれてきました。
 その独特な匂いとほろ苦さが身上ですが、特に日本古来の調味料である
 味噌がそれを引き立ててくれます。

 今回はその簡単な調理法(おばあさんの味)を2つ3つ紹介します。
 固いつぼみをその姿のまま2つに割って火にあぶり練り味噌(砂糖を
 混ぜ少量の酒で練ります)を塗るとご飯にも酒にも向きます。
 茹でて味噌ですりつぶしたものは、これまた食欲をそそります。
 これは内緒ですが、二日酔いの特効薬にもなりますよ。

 刻んで油と味噌で炒めた蕗味噌はお茶漬けの友として最高です。
 これは寒ブリの刺身のツマとしてもおつなものです。
                            (2008.3)

その17 ハハコグサ


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 だれもが知っている草ですね。 

 大井町で見る限り、この花は3月から11月と長い間見られます。
 ところが不思議なことに師走に入ると見えなくなってしまいます。
 母は忙しいのでお使いに行ってしまったのですかね。
 それが正月になると新芽となって復活します。

 実はこれが春の七草の「ゴギョウ」です。
 パステルグリーンの(葉の表面に細かい毛が密集しているので)
 この草はついつい食欲を誘ってくれます。

 かなり昔のことになりますが、七草粥の中に沢山入れた時がありました。
 効果てきめん?苦くて苦くて、それはすごい七草粥になってしまいました。

 母子草の名の由来「根っこ草」が訛って「ハハコグサ」、それを「母子草」
 と当て字したと言われています。
 実は、江戸時代の学者新井白石が草もちの中に「ヨモギ」を入れることを
 朝鮮で教わって、日本に広めるまでは、草餅には「ハハコグサ」が使われて
 いたのです。 それが古来から「葉っこ草」と呼ばれていたようです。

 じゃ白石以前は苦い草餅を食べていたのでしょうか。
 いやいや、この草はよくゆでて水にさらすと苦味はとれてしまいます。


その16 ノギク


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 野菊といえば、私はすぐ多感な中学生の頃読んだ小説「野菊の花」を
 思い出してしまいます。
 あの時、「望まぬまま結婚をし、この世を去る民子」の心情が痛いほど
 わかり涙しました。そんな薄幸な民子の墓のまわりには野菊が沢山植え
 られたと小説は結んでいます。

 私はそれ以来ずっと野菊は白い花だと思い込んでいました。
 純白こそ民子そのものだと一人合点していたのです。

 しかし、野菊の代表は嫁菜(ヨメナ)であると知ったのは何十年も過ぎた
 後でした。嫁菜は晩秋の代表的な野草です。その薄紫の花は大井町でも
 9月から12月ごろまで咲いています。

 今では、この遠慮がちな薄紫こそ民子の花だと思うようになりました。
 民子のイメージを少年の頃は白、老年の今は薄紫。
 なんだか自分自身それがわかるような気がします。

 さて、この嫁菜の花は秋ですが、その若草は「春の野に出で若菜摘む」
 のとおり万葉の代から食用として愛されていたようです。
 実は「野菊」とは、嫁菜の仲間の総称なのです。

 その花は野紺菊(ノコンギク)紫苑(シオン)、山路菊(ヤマジギク)、
 柚香菊(ユウガギク)、山白菊(ヤマシロギク)等とみんな美しい和名です。


その15 オニノゲシ 


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 オニノゲシとはゴッツイ名ですが、その名のとおり、この花は春花なのに
 師走になってもひるむことなく鮮やかな黄色の花を咲かせます。

 しかし、師走になっても咲いている春花は、足柄地方ではまだまだたくさん
 あります。 
 12月10日(2006)に酒匂川左岸(大井町)を30分ほど歩いてみました。
 そこにはナズナ(春の七草)、ホトケノザ(春の七草)、タネツケバナ、
 ムラサキカタバミ、タンポポ、ギシギシ、ハルジオン、ハコベ(春の七草)
 オオイヌフグリ、ムラサキツメクサ、キツネノアザミ、ハキダメギク、
 ハハコグサ(春の七草)など、ざっと数えて10種類をこえる春花が咲いて
 いました。
 (勿論このほかに、夏花、秋花もたくさん咲いていました)

 これは地球温暖化の兆しでしょうか?
 いや、私は、足柄地方は日本の中でも一年中穏やかな自然の中にある所だから
 と思っているのですが、これって、私の我田引水でしょうか?

その14 センダングサ、アメリカセンダングサ


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 栴檀(せんだん)という香木があります。でも、この草には香りなどありません。
 では何故せんだん? 

 それはこの草の葉の形が栴檀の木の葉に似ているだけのことなのです。 
 この葉を知らない人はいないほど見なれた草ですが、名前を知っている人は
 少ないようです。
 
 また、種が服にぎっしりと付いてしまって困ったという経験は誰もが持って
 います。これは種に芒(のぎ)という棘(とげ)がついているからです。

 実は、このせんだん草にも外来種があります。
 名づけて「アメリカせんだん草」です。
 在来種との見分け方は簡単で、すぐ分ってしまいます。
 まず、花のガクですが、アメリカせんだん草は反り返っています。
 タンポポとおなじですね。次に茎の色ですが、アメリカせんだん草は
 赤紫色です。 さらに、種の棘(とげ)の数がアメリカせんだん草は2本、
 在来種は4本です。 どちらが、しつこく服につくでしょうね。

その13 ノボロギク


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 この花びらはいつまでもつぼみのようで開きません。
 草丈は20cmぐらいで目立ちません。
 葉の形にも不規則できまりがありません。
 しかし、この花は真夏の酷暑でも真冬の厳寒でも咲いている強い花です。
 それに道端や畑などに咲いているおなじみの野草です。

 でも名前を聞くと殆どの人は首を横に振ります。この花、精一杯咲いている
 のに襤褸(ボロ)とは可哀想な名前ですね。
 10年ほど前大井小学校の子どもたちに「もっといい名前」を考えてもらった
 ことがあります。
 そのベスト3は「がんばりそう」「つよぎく」「ちびぎく」でした。
 子どもの発想は一途で、その時は痛く感動させられました。
 
 さて、このノボロギクには仲間がいます。ダンドボロギク、ベニバナノボロギク
 です。 前者は酒匂川左岸の金手、西大井の水田によく見かけたのですが、
 15年程前に絶えてしまいました。
 後者は、酒匂川の川原に時々見かけますが、細々と暮らしています。
 
 子どもが命名した「がんばりそう」の方は畑仕事のお邪魔をしながら今日も
 頑張っています。

その12 クズ


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 林の緑や土手に一面に繁茂している姿は、あしがら地方ではおなじみです。
 ところが、「花を見ました?」 と声をかけるとうなずいてくれる人は
 そんなに多くはありません。

 でも、この花は古くから秋の七草のひとつに数えられ親しまれてきました。
 別名「くずかずら」といわれる通りツルが際限なく 伸びるので、林業、
 農業の方 に嫌われてきましたが、この野草なんとなんと有用なんです。 

 地下茎には素晴らしい澱粉(でんぷん) がたくさん貯えられています。 
 人呼んで「くず粉」、「片栗粉」の原料です。これで作った葛湯(くずゆ)
 は、古来から 病人の滋養食として珍重されてきました。

 今、片栗粉という商品名で売られているものは、実はジャガイモの澱粉で
 作られたものです。本当のくず粉は高価です。よく「吉野葛」といわれる
 ものが、その一つ ですが、京都では古くから京菓子の原料となってきま
 した。関東では亀戸天神、川崎大師の葛餅が江戸時代から有名です。

 さて、この葛の若葉、若芽の天ぷらの味は最高ですよ。 私はどんな野草
 の天ぷら より優れていると思っています。これは内緒でお教えします。


その11 ヒガンバナ


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名の由来は彼岸に咲く花だからとすぐ分りますが、日本全国に分布する花
 なので色々な名が付けられています。墓バナ、幽霊バナ、カブレバナなど
 は敬遠したくなる名ですが、曼珠沙華(マンジュシャゲ)はいかがですか?

  実はこの名前には懐かしい思い出があります。昭和23年ごろに流行った歌に
 「恋の曼珠沙華」というのがありました。多感な中学2年生のころだったの
 で、ここにでてくる花はきっとロマンチックな素晴らしい花だったと連想
 していました。でも、それが彼岸花だと分るのに私には30年の時が必要で
 した。その時は少なからずショックでした。

  しかし、彼岸花が嫌いだという分けではありません。律儀な花で、彼岸に
 はどんなことがあっても必ず咲きます。そんなところも好きです。
 色紙にこんな句を書いた時がありました。曼珠沙華彼岸に参る律義者
 地下の鱗茎にはアルカイドの猛毒があるのでご用心。



その10 ホトトギス


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 この花は30年ほど前、大井町相和の林で初めてお目にかかりました。
 野の花にしては趣があるので、その発見話をしたところ、土地の人から
 「そんな花どこに でも咲いているよ」と一笑に付されがっかりした
 思い出があります。

 名前は後で知ったのですが趣のある花だと思ったとおり名前もなぜか趣が
 あるものでした。
  ホトトギス=不如帰は文学・詩歌でもおなじみです。
  中でも徳富蘆花の「不如帰」はあまりにも有名です。
   海軍少尉川島武男と陸軍中尉の娘浪子の悲恋物語ですが、私は幼い時
  聞いた「お手玉遊び」の武男と浪子の数え歌を薄ら覚えで僅かながら
  記憶の底に残っています。

  「一番始めは一の宮、二は日光東照宮、三は佐倉の宗五郎 
   …十は東京招魂社。これほど念願かけたのに浪子の病は治らんか…。」
  七十歳以上の人なら知っている方が多いのではないでしょうか。
 
 さて名前の由来ですが、この花の花弁の白地に紫の斑点模様が、日本に来る
 渡り鳥のホトトギスの胸の斑点に似ていることからついたという説が有力です。

その9 イヌタデ


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  オママゴトの代表素材:
    春から秋にかけてどこにでも咲く蓼科の代表花です。
  人は役に立たない雑草にイヌだとかキツネだとかを頭につけます。
  でもこの花は、どうしてどうして昔から役に立ってきました。

  別名を「アカマンマ」といえばピーンときますね。
  そうです。これはオママゴトの代表素材。お皿にこれを載せて
  ご飯代わりにした幼き日の思い出は、日本人なら誰でも持っていますよね。
  今でも幼稚園児はオママゴトに使っています。

  よく「蓼食う虫も好き好き」といわれています。これは、苦い蓼を
  好んで食べる虫がいるように人の好みも様々だという至言なんです。

  でも、このイヌタデは決して苦くはありません。
  アカマンマと言われているように食べられます。
  中でも天ぷらは最高ですよ。生のまま若枝ごと普通にといた衣で熱めの油
  でカラッと揚げます。でも、ヤナギタデは苦いのでご注意。
  これは葉がヤナギの葉に似ていて、花はアカマンマのような赤っぽくなく
  白緑色です。超苦いので念のため。

その8 ヘクソカズラ


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お馴染の野草ですが、名前が良くありません。
  この花よく見ると清楚な花姿をしています。
  花を見るかぎりなんでこんな名前が付いたのか不思議に思ったりします。

  五裂した純白な花冠の中心はすっきりした紅紫色に染まっています。
  それなのに屁(へ)に糞(くそ)とはあまりにも可哀想ですね。
  
  この不名誉な名前の由来は、その草の放つ異臭にあります。
  しかも慢性で5〜10mにもなります。林や畑を護る人にとっては臭いと共に
  邪魔者です。江戸っ子の常用句に「へにもくそにもならねぇ」がありますが、
  こ  れは「役に立たないどうしょうもない」の意味ですが、このような
  名前が付いた意味が何となく分ります。足柄では藪や林の縁などに良く
  見かけ夏に花を咲かせます。

  最近では水路を保護するフェンスの網にも絡んでいます。
  足もないのに絡みやすい網を良く見つけるもんですね。
  自然の力には脱帽です。

  さて,この花もっと違う名前が付いています。
  その一つは「ヤイト花」です。花がヤイト(お灸)の痕に似ているからです。
  お灸といっても、団塊の世代以上の人でなければ知らないでしょうね。
  また、この花に似たきれいな名前は早乙女花(サオトメバナ)があります。


その7 マツヨイグサ


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  この花の名は知らない人がいないでしょう。 
  でも、マツヨイ草か、ヨイマチ草か、と問われると困ってしまう人が
  多いようです。

  その通り、昔から両方の名で知られているのです。
  大正ロマンの時代に流行った「待てど暮らせどこぬ人をヨイマチ草の
  やるせなさ今宵は月も濡れそうな…」の歌は、それを物語っています。

  この歌詞に「月も…」と月が出ていますが、マツヨイ草の別名「月見草」を
  暗示しています。
  実際、太宰治は「富士山は月見草が良く似合う」という有名な言葉を残して
  います。
  宵・月とみな夜に関係していますが、この花は夕方の6時ごろから朝9時
  ごろまで咲く夜の花だからでしょう。

  名といい、咲く時といい、何かロマンチックですね。

  大井町では“オオマツヨイ、マツヨイ、コマツヨイ”草の3種類が咲いています。
  オオマツヨイは2mもの丈になり、コマツヨイは地に這っています。
  オオマツヨイ以外は咲き終わると花びらが赤くなってしぼみます。
  ロマンの夜が終わったからでしょうかね。

その6 ハルジオン ヒメジオン


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  春女苑・姫女苑:ハルジオン・ヒメジオンの和名です。
  両方とも北米からの帰化植物ですが、この和名は素敵ですね。
  それほど日本では代表的な野草になっています。

  昔からオママゴトのご馳走の定番になってきました。両者は区別が
  つかないとよく言われますが、茎を折って見ると春紫苑は中空で
  姫女苑は髄が詰まっています。

  まだ異なることがたくさんあります。
  春は細かいピンク混じりの花、姫は純白です。
  春は花びらが寝乱れているような感じで、姫は櫛でといたように
  すっきりとしています。
  咲く時期も微妙に異なります。これは陸上競技のリレーに似ているんですよ。

  3、4月は春の独走。
  5、6月はバトーンゾーンにいます。ここでタッチが行なわれ、
  7〜10月からは姫の独走に移るのです。

   両方とも、若葉は椀種になります。
  でも、最高は葛きりやトコロテンの上に摘んだ花を2つ3つ添えます。
  都会のお客さんはとても喜んでくれます。
  また、酒の肴のブツに乗せれば酒がもういっぱい進みます。

その5 キツネノボタン


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  狐といえば、見た感じが怪しいたとえによく使われる動物です。
  早春の田んぼに咲くキツネノアザミはアザミのようでアザミの仲間では
 ありません。  こういうものに狐を付けちゃうんですね。

  キツネノボタンの漢字名は狐牡丹です、牡丹といえば、白や紅の大輪の花で
 昔から美しいものにたとえられています。

  「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」は美女のたとえに
 使われている言葉ですが、牡丹もちゃんと仲間に入っています。
 
  じゃなぜキツネノボタン?…実は、このキツネノボタンの葉が牡丹の葉に
  そっくりだからということです。

  聞いてがっかり、狐にだまされたような気になりますね。 
  また、このキツネノボタンは有毒植物なのでキツネと名付けられたという
  説がありますが、これは怪しいのでキツネ説としましょうか。 

  私といえば、長い間キツネノボタンのボタンは洋服類についている釦
  だと思い込んでいました。この野草の形がコンペイトウに似ているので、
  キツネの服にお似合いではないかと勝手な解釈をしていました。
 
  葉の形が牡丹のそれと似ているということは最近知ったのですよ。


その4 カタバミ


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 ハート形の三対の葉と黄色の小さな五弁の花をつけたカタバミは知らない
 人はいないほどお馴染の野草です。
 道端や家の基礎の根元や石垣の下などによく生えています。

 スイバ(スカンポ)と同じように酸味があるので子どもの頃、噛んで遊んだ
 覚えがあります。
 夜になると葉が閉じてしまいます。これは就眠運動といわれる現象です。
 そうすると葉の裏側が見えなくなってなってしまうので「片食・カタバミ」と
 呼ばれたといわれています。
 (食は日食、月食のように欠ける意味につうじます)。

 私は当て字として「片葉見」としてみました。
 若い人にはよくわかると思うのですがいかがでしょうか? 

 同じ仲間にムラサキカタバミがあります。これはカタバミよりも数倍大きく
 ピンクの美しい花です。
 西大井地先の酒匂川の土手にも群生しています。
 野の花というよりも観賞花といった感じがします。
 それもそのはず、江戸時代に観賞用として輸入されたものですが、
 それが野生化して
しまったそうです。 

その3 タンポポ


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(蒲公英)野草の代表の一つにタンポポがあります。
 野に咲いているタンポポの花を見るとホッとします。

 この明るく鮮やかな黄色の花は春の花とされていますが、実は、大井町では
 一年中咲いている時無し花です。茎を折ると、白い乳液が出るので、昔から
 この根を「蒲公英・ホコウエイ」といって母乳の出ない人の薬にしていました。

 子どもの頃、穂の種を吹き飛ばして遊んだものですが、親などから「耳に入る
 と聞こえなくなる」と言われました。
 確かに綿様のものを詰め込めば聞こえにくくなりますが、説得力は今ひとつ
 ですね。これは、種が畑や庭先に飛んで草むしりが大変なので「大人の知恵を」
 発揮「嘘者」かもしれません。

 今、大井町のタンポポはその殆んどが西洋タンポポです。
 これは、花のガクが下のほうに大きくカールして反り返っています。
 ひょうたん池近くの酒匂川左岸の堤防で西洋タンポポと関東タンポポが
 壮絶なショバ争い?をしています。


その2 タネツケバナとナズナ


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霜柱が立つ早春の田んぼに米粒より小さな白い花をつけている野草を
 見かけます。

 花の形が小さな十字架で見分けがつかないので、誰もが一種類の野草
 だと思ってしまいます。
 しかし、よく見ると葉の形、果柄(かへい)の形が違う二種類の草が
 混じって咲いている場合が多いのです。

 すなわちタネツケ花とナズナです。

 すぐ分る特徴は果柄です。
 タネツケ花は種の入った弓形の果柄が茎の周りから放射状に上を向いて
 付いています。ナズナはハート形の果柄です。
 この二つの花の花期は三月から六月にかけて最盛期を迎えますが、立春の
 頃にも咲いている共に二年草のアブラナ科の野草なのです。

 名の由来もおもしろく、タネツケ花は菜種(ナタネ)と同じように果柄
 (かへい)の鞘の中に種が入っているので「種付け花」。
 また、花の最盛期が苗代の種籾(たねもみ)を水に漬ける頃なので
 「種付け花」と呼ばれたという説もあります。
 一方ナズナはハート形の果柄が三味線のバチの形に似ているので別名
 ペンペン草と呼ばれています。

その1 ホトケノザ


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 名前の由来は、葉が丸く対生していて茎をぐるりと取り巻いるので、仏様が
 座っている蓮の花をかたどった台座(蓮坐)に似ていることから名付けられた
 と言われています。

 野草図鑑などによれば、春の花で花期が3月から6月とされています。
 しかし、大井町では春のように群生こそしていませんが、一年中どこかに
 咲いています。

 深緑の葉の間から背伸びしているように咲いている紅紫色の花は美しく
 ハッとする時があります。
 しかし、農家の方には迷惑な雑草であって皮肉なものですね。

 同じような花の形にカキドオシやオドリコソウがありますが、いずれもシソ科の
 仲間です。 シソ科といえば、この仲間は茎が四角柱です。
 
 和製ハーブのシソ、ハッカのように芳香を放つ花も四角柱です。

 さて、このホトケノザは名前から「春の七草」と勘違いされることがありますが、
 この花はゴワゴワと固くて食べられません。
 実は七草のホトケノザはコオニタビラというキク科の植物なのです。
 間違わないようご用心。


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